オーガニック平飼い有精卵


有機JAS認証 オーガニック平飼い有精卵

小林農園(テンアール株式会社)では一部の鶏舎で有機JAS認証を取得し、オーガニック鶏卵を生産しています。
認証団体:株式会社ACCIS

オーガニック(有機)とは

「オーガニック」や「有機」という表記をスーパーマーケットでも目にする機会が増えたと思います。
オーガニック(有機)とは化学肥料や農薬に頼らずに農業を営むことや、抗生物質や化学成分の入った飼料に頼らずに動物を育てる畜産業のことを指します。
また、国の認めた認証機関で「有機JAS認証」を取得している場合のみ、「オーガニック」や「有機」という表示が認められています。

オーガニックの卵を生産するのは難しい

オーガニックの鶏卵を生産している養鶏場は国内に10軒程度です。
日本では、鶏を小さなケージ(かご)に閉じ込めて飼育する「ケージ飼育」が一般的ですが、ケージ飼育環境の養鶏場が有機JAS認証を取得することは、まず不可能でしょう。
有機JAS認証を取得するためには、飼育方法やエサについての厳しい基準があり、それらを満たすことができないからです。

卵の有機JAS認証の基準(抜粋)

基準1:飼育面積
鶏1羽当たり、0.15㎡以上と定められています。ケージ飼育の場合、鶏1羽当たりの面積はわずか450㎠(B5用紙一枚)に満たないこともあります。
小林農園では、創業当初から鶏1羽当たり2.54㎡と有機JAS基準を大きく上回る広さで飼育しています。
基準2:放牧地の面積
一日に一度は必ず鶏舎の外へ鶏を放牧するということが定められています。
この放牧という概念はまだまだ日本の養鶏業界には浸透しておらず、ケージ飼育の鶏達はもちろん、一般的な平飼い飼育の養鶏場でも放牧飼育を実践している養鶏場はまだまだ少ないと感じています。
放牧場の広さの基準についても、1羽当たり、0.15㎡と定められています。
小林農園では、創業当初から鶏舎と放牧場を自由に行き来できるうえに、放牧場の面積も鶏1羽当たり1.75㎡と、有機JAS基準を十分に満たしています。
基準3:アニマルウェルフェアを意識した飼育管理
有機JASの基準では、世界のアニマルウェルフェア(家畜福祉)の原則となっている「5つの自由」を維持することが定められています。
鶏に自由を与えないケージ飼育で実現することは難しいでしょう。
  • (1)「飢えと渇きからの自由」(健康と活力の為に必要な新鮮な水と飼料の給与)
  • (2)「不快からの自由」(畜舎や快適な休憩場などの適切な飼育環境の整備)
  • (3)「痛み、傷、病気からの自由」(予防あるいは救急診察および救急処置)
  • (4)「正常行動発現の自由」(十分な空間、適切な施設、同種の仲間の存在)
  • (5)「恐怖や悲しみからの自由」(心理的な苦しみを避ける飼育環境の確保及び適切な待遇)
小林農園では、創業当初から全ての自由を維持できる環境で飼育しています。
また、日本国内には民間有志による二つのアニマルウェルフェア認証団体があり、そのどちらにも生産者会員として加入しています。
WFCJ(アニマルウェルフェアフードコミュニティジャパン)
アニマルウェルフェア畜産協会
基準4:薬剤等の使用
飼料以外の成長又は生産の促進を目的とした物質を与えたり、動物用医薬品を使用しないことが定められています。
小林農園では、創業当初から薬剤を一切使用していません。体力をつけて健康に育てることで、薬の必要としない鶏を育てています。また、卵の生産能力を上げるためだけの物質を与えません。
基準5:鶏に与えるエサ
有機JASの認証基準では、鶏に与えるエサの80%以上がオーガニック飼料でなければならないと定められています。 一般的な養鶏場は、飼料メーカーが販売する配合飼料を与えており、基準を満たすことはできないでしょう。
小林農園では、もちろん基準を満たしていますが、オーガニック後進国の日本ではオーガニック飼料の生産量が極端に少なく、国産のオーガニック飼料を確保することは容易ではありません。

私たちの飼育環境

一般的に有機JAS認証の基準はとても厳しいといわれますが、上記「有機JAS認証の基準」の1~4は、私たちにとっては「当たり前」のことです。
私たちが創業当時から実践している平飼い飼育や放牧、エサへのこだわり、そしてアニマルウェルフェアに対する考え方は、有機JAS認証を取得する以前から基準を満たしていました。
ケージ飼育の養鶏場にとっては、対極に位置する飼育方法とも言えますので、有機JAS認証の基準はとても厳しく感じるかもしれません。 しかし、私たちが「当たり前」としている飼育方法で、有機JAS認証の飼育環境に関する基準は満たせるのです。
つまり、私たちの飼育環境であれば、エサを切り替えるだけで全ての鶏舎でオーガニック卵を生産することが可能です。

オーガニック平飼い有精卵の違い

「平飼い有精卵」と「オーガニック平飼い有精卵」を販売していますが、飼育環境に違いはありません。違いは鶏に与えているエサの約80%がオーガニック飼料かどうかです。
小林農園における「オーガニック卵と、そうでない卵の違い」は、与えているエサの違いだけです。
「全てのエサをオーガニックに変えたらよいのでは?」という疑問がうまれるでしょう。
私たちもそれを目標にしています。しかし、今の日本では、オーガニック飼料を手に入れることが容易ではありません。
小林農園では、北海道産の麦を主体にエサの配合を設計していますが、そもそもオーガニック麦が日本に少ないので、飼料として流通する北海道産のオーガニック麦はさらに希少です。
そのため、全ての鶏に与えられるほど、北海道産のオーガニック飼料麦を確保できないのが現状です。
また、オーガニック麦はとても高価なので、卵の価格も高価なものになってしまいます。

オーガニック卵の普及を願って

野菜や加工品も同様ですが、日本でオーガニック食品が高価になりがちなのは、生産原価がかかるからです。
例えば、有機栽培農家さんが増えて、オーガニック麦の生産量が増えれば、価格が安定し、オーガニック卵の生産量も増えて、価格も安定するでしょう。
こういった循環システムが、オーガニック後進国の日本ではまだまだ未熟です。
ただ、需要がないものは生産されないので、まずは需要を作ることで循環システムが少しずつ形成されることを願っています。

私たちの生産している卵は、有機JAS認証を取得していなくても、本当に素晴らしいものである自信があります。
創業当初から、北海道産の麦を中心に、遺伝子組み換えではない良質な飼料を自家配合しています。鶏の飼育環境も、世界水準のアニマルウェルフェアに準拠しています。
将来的には全ての鶏舎で有機JAS認証を取得するのが目標ですが、今の日本では生産したくても飼料が足りませんし、卵の価格も跳ね上がってしまいます。
2022年に有機JAS認証を取得してからこれまで、オーガニック卵は、ご要望に応じて一部のお取引様にのみ販売していました。
しかし、オーガニック卵の普及が、日本全体のオーガニック農業の普及に繋がることを期待して、オンラインショップでの販売を開始することにしました。

私たちはこの「有機JAS」という認証は決して特別なものだと思っていません。
エサの問題さえ解決できて、アニマルウェルフェアの考え方が根底にあれば、有機JAS認証は取得できて当然のものでなければいけないと考えています。
今後、少しでも多くの日本の農家さんが有機農業・有機畜産に転換して、有機農業や有機畜産が「当たり前」になることを切に願っています。